冷たい雨は貴方に降らない

この光の始まりには君がいる

アイドルとして生きること/ファンとして生きること

森田美勇人くん、萩谷慧悟くんを中心に主観のおはなしです。苦手だと感じたらブラウザバックをお願い致します





先日2016年ジャニーズ銀座の詳細が公表された。大きな試験も終わり、久しぶりに友人と再会し世間話に花を咲かせていた。Twitterにクリエの日程が流れて来たのは丁度そんな時であった。

美勇人くんについて頭を悩ませる瞬間はとても楽しいし、その分とても苦しかった。2つの公演に、森田美勇人という名前が飾られる。全14公演。グループを掛け持ちしている彼を、私は素直に肯定出来なかった。美勇人くんについて、1年近く追いかけ続けて、たくさん彼を知った。何をしてきたのか、何をしているのか、これから何をしていこうとしているのか。
Travis Japanを引っ張っていくダンサーの1人として生きてきた美勇人くんがいて、大好きな萩谷くん達とベースを弾く美勇人くんがいた。どちらもかけがえのない存在だった。誰かの願いを叶えるために踊り続け、自分自身のために歌い続ける彼はどこにいても眩しい人だった。


いい意味で、彼は1人で生きてきた。何に固執する事もなく、何処にでもいられる人だった。誰かと一緒にいたい。この人と踊りたい、歌いたい、デビューをしたい。美勇人くんからそんな言葉を聞いたことは一度もなかった。少なくとも、私が知る限りでは。
器用で頭のいい人だった。美勇人くんは何をしても、言葉は悪いかもしれないが利用できる物、環境があればなんでも利用した。自分の為に、彼は誰よりもアイドルとして生きていたいと願っていた。だから何も言わない。私達に何も伝えない。彼がアイドルとして理想とする形になった時、今はただの過去にしかならない。誰と一緒にいたのか、何をしていたのか、美勇人くんとっては夢を叶えるための過程の1つでしかないのだろう

アイドルとしての可能性を潰さない為に、美勇人くんは何でもしようとする。掛け持ちという形をとっても。いつか切り捨てなければいけないメンバーがいたとしても。


これだけ貪欲にアイドルを追い求めて続けて、それでも若手がどんどん前に出されていく今のジャニーズの売り出し方は見ていて虚しかった。悔しかった。これだけの才能があって、努力があって。それでも最前列でもてはやされるのはこの間までどこにも所属していなかった無名の後輩達。10年近くステージに立ち続けて、それでも報われない世界。分かっていて、悔しい筈なのに、それでもこの世界で歌い続けるのは何故だろう。誰かの光であり続ける彼は、眩しくて、でもどこか脆い存在だった。触れてしまえば壊れてしまうような、か細い光だった。たくさんの居場所があるという事実が、逆に不安定な世界を連想させた。何があってもしがみついてなければいけない。どれほどの葛藤が彼らを包み込んでいるのだろうか。


ガムシャラサマーステーションが開催されていた時期は、必死で彼のことを知ろうとした。美勇人くんに与えられる機会を素直に喜んでいた。画面に映る美勇人くんをひたすらに追いかけている自分がいた。トラジャでも、バンド括りでも美勇人くんがそこで踊っていられるのなら何だって良かった。ほとんどの人は、私と同じ感情なのだろうか。美勇人くんがそこにいるなら、隣の人は誰だっていい。バックダンサーとしてでも、メインとしてでも。アイドルでい続けるための可能性の幅を狭めない為に、美勇人くんも今の自分が正しいと感じているのだろうか。きっと、そうなのだ。


いつから美勇人くんの立ち位置に疑問を持ち始めたのだろう。「ずっと掛け持ちをしていればいいのに」という声に素直に頷けなくなったのは。
美勇人くんのベースを弾く姿を見たいからではなかった。その気持ちはあったが、大きな理由にはならない。


萩谷慧悟くんの存在が、私にはとても大きいものだった。担当のお友達と出会って、たくさんの話を聞いて、昔の彼の姿を知って、今を知った。ほんの数ヶ月の間に思う事がたくさんあった。萩谷くんは、バンド括りの大切なメンバーの1人だった。



大学に入り音楽論を学んだり、自分で曲を作ったりと音楽のスペックを上げています。Jr.でライブができる機会があったら披露したいです。ぼくたちはバンドを組んでいますが、正式なグループではないのでなれたらいいし、ライブもしてみたい。今はそれを目標に頑張っています。Jr.にもたくさんのグループがありますが、正直羨ましいです。仲良しごっこがしたいんじゃなくてぼくも同じ土俵に立って、来年は戦いたいと思います。  15'12 女性セブン



ふとした瞬間に、彼らは私達の心臓を突き刺すような鋭い言葉を投げかける。美勇人くんを追いかけていると、必ず萩谷くんがそこにいてくれる。ぼんやりとした姿だった萩谷くんが、このテキストを読んで突然はっきりとした輪郭を持ち強く光って見えた。担当ではない、それでも私には彼が特別な存在に思えて仕方なかった。


Jr.にとって「正式なグループ」とは何を指すのだろう。名前を持つ事だろうか。自分達の曲があるという事だろうか。確かな事は分からない。それでも今のいわるゆバンド括りは、グループではないと彼は言う。いつ崩れてもおかしくない曖昧な世界の中で、彼らは集い、私達の前でパフォーマンスをする。彼らの姿を追い求める人達の願いを叶えようとする。そして、萩谷くんが強く結束を望むグループの中に、美勇人くんの姿があった。名前は出さずとも、美勇人くんがそこにいて欲しいと願っているように見えた。


萩谷くんが幸せになって欲しいと願う人がいる。マイクを持って、自分達の足でステージに立っていて欲しいと望む人がいる。萩谷くんの周りにはいつも優しい思いがあった。そして、その思いを丁寧にすくい取る彼の姿があった。久しぶりに呼ばれたバラエティ番組で、萩谷くんを待ち望んだ声に応えるように務めた。萩谷くんはその場にいる誰よりも輝いて見える。掴んだチャンスを、手に入れた道を全力で踏みしめる彼の姿がとても綺麗なものに思えた。その姿を見守るファンの子達の声も、同じように綺麗だった。萩谷くんをめぐる全てのものが優しくて、それに触れる瞬間が心地よかった。その度に私も優しい気持ちになれた気がした。


単純な事だった。萩谷くんに幸せになって欲しい。萩谷くんと、萩谷くんを大切に思う誰もが幸せになって欲しい。その幸せの先に美勇人くんがいるのなら、萩谷くんの隣には美勇人くんがいて欲しい。美勇人くんのベースが必要だと萩谷くんが思うのなら、美勇人くんにはベースを弾いて欲しい。安井くんが歌って、真田くんがギターを弾いて、美勇人くんがベースを弾く。そして、萩谷くんがドラムを叩く。その世界が萩谷くんの望む世界なら、そうであって欲しい。



そして、美勇人くんは答えを出さない。むしろ、無言でいる事がファンに対する、そして美勇人くんを必要とするメンバーに対する答えなのだろうか。求められれば何にでも向き合った。そして去年はTravis Japanとして大きな成長を遂げた。メンバーの一員として彼はまた一歩踏み出した。何も言わないで、彼は萩谷くんが進む道とは別の方向にも歩き出していった。変わらぬ笑顔で、変わらぬ決意で。



いつかは答えを出して欲しい。誰かが悲しむ決断だったとしても、私は彼の口からそれを聞きたい。どんな未来だったとしても、私は彼を追いかける自信がある。それでも、その時に隣に萩谷くんがいてくれたらな、とは思ってしまう。誰に押し付けるつもりもないし、声をあげて言うつもりもない。ただ、そうある事が、萩谷くんにとってプラスであるのならそうであって欲しい。美勇人くんの幸せの先には、誰の姿が見えているのだろうか。美勇人くんは飛び抜けて頭がいい。悲しむ誰かがいる事を知っていて、それを口にする事で自分の将来を狭める事を知っているから、彼は何も言わない。来る時に、本当に決断をしなければいけない時に彼は何でも切り捨てられる人なんだろう。貪欲にアイドルとしている事は、必ずしも全ての人を幸せにする事ではなかったのだ。



お世話になった高校の先生に、昔、バンド活動をしている人がいた。全く別のアーティストに関してだが、その人と少しだけ「アーティストと音楽」についてお話をした事がある。かつてはインターネットの端で活動をしていたアーティストが段々と有名になっていく。私は昔の彼を知っているし、今の彼も知っている。そのアーティストが作る音楽が少しずつ変わっていった。当たり前だと思う。見られる場面が増えるのだから、環境も変わっていく。それに向けて自身も変化していかなければいけない。その変化に、昔の彼を愛していたファンは怒り、ファンを降りていった。それでもそのアーティストはそれは当然の事だと言った。

「今の僕の音楽が昔からやりたかった音楽です。今の僕を肯定できない人がいて当然だと思います。でも、僕はやりたい事をします。」

悲しむファンがいて、それでも彼は自分を優先した。自分がしたい音楽を優先した。そしてたくさんのファンが彼の元を去っていった。

その事を話すと、音楽に関わる人はそういうものだと先生は言っていた。自分がやりたい音楽がまずあって、ファンはその次だと。


なるほど。これはもしかしたらアイドルにも当てはまるのかもしれない。美勇人くんは自分が望む世界を優先した。悲しむ人がいる事も知っていて、それでも美勇人くんには美勇人くんが描く未来があった。そして今の彼が答えだった。ジャニーズ銀座のグループ編成には、2箇所、彼の名前があった。どちらのグループにも属して、アイドルを続けていくと。


だから私は美勇人くんの姿を見届けたい。美勇人くんの答えをこの目で確認したい。そのために私はB公演にもC公演にも足を運ぶつもりだ。そしてまた時間をかけて美勇人くんを知っていきたい。萩谷くんの隣にいる美勇人くんと、美勇人くんの隣にいる萩谷くんをこの目で見てみたい。9人足を揃えて前に進もうとするTravis Japanを見てみたい。誰かの後ろではなく、ステージでマイクを待つ彼らの姿を見てみたい。画面越しでは分からない彼らの熱量を、私はこの目で見てみたい。


その時私は何を思うのだろう。萩谷くんの幸せ以上のものが見つかるのだろうか。心の中に生まれた私の望みは、彼らにとってはほとんどが意味のない物だろう。それでも私達は彼らの未来に自分達の願いを重ね合わせる。無意味な事かもしれない。悲しい事かもしれない。それでも、バンドのグループが正式なものになって欲しいという願いも、Travis Japanが9人でいて欲しいという願いも、とても儚くて美しいものに思えた。形のない、それでも強い光のように思えたのだ。


その光の先に、彼らがいた。他でもない自分自身の為に不安定な足場を駆け抜ける、彼らがいてくれた。届く事のない願いを胸に、今でも私はその背中を追いかけ続けている。

「身に付けたり教わったり、そうやって自分のスタイルが少しずつ作られてきたかなって感じがするんです。やらされるんじゃなくて、自分の意思でやっていく。その心構えができたというか。だから今年は全部やりたい。芝居もダンスも歌も全部。バラエティーも出たいです」森田美勇人/TVfanより