冷たい雨は貴方に降らない

この光の始まりには君がいる

Love-tune

Love-tuneというグループがある。愛の音。素敵な名前だなぁと思う。担当の所属グループである。つい最近まで、彼らには名前がなかった。彼らはそれまではバンド括りと呼ばれていた。ドラム担当のメンバーが、いつかこのグループが正式なものになればいいと言っていた。私もそう強く思った。4人はそして正式なものになった。それから、彼らは7人になった。いつからだったっけ。7人は正式なグループになった、らしい。楽しみにしていたLove-tuneのクリエは、7人で行われた。だって、7人は正式なグループだから。いつまで7人なのだろうとぼんやりと思っていた。いつかは4人になって帰ってくる気がした。いつかの少年倶楽部で、クリエの曲を4人で歌っていた。大好きな4人がいた。ああ、これが私の見たかった風景なんだなあ、と思った。帰ってきてくれた、おかえりなさい。そんな風に、静かに春が過ぎた。


それからすぐに夏がやってきた。私が見てきた4人はもうどこにもいなかった。春が彼らを連れ去っていった。私が大好きだった4人を、春がどこかに連れ去っていった。いや、違うのかなぁ。そんなものはどこにもなかったのかもしれない。みんなのツイッターをみてる。7人のLove-tuneの話がたくさん流れる。あ。4人、じゃないんだなぁ。4人を覚えているのは私だけで、あー。もうそれは、4人なんて最初からいなかったのだなあって。そうだったんだなぁって。もう会えないとか、じゃなくて。そんなものはなかったんだなぁって。それから、8日に7人に再会した。大好きな彼が目の前にいてあれ、でもその記憶は全然なくて。あーやっぱり、7人の誰かで。知ってたんだけどなぁ。分かってたんだけどなぁ、ぽっかり穴が空いている、胸に。嫌だったんだなーって。4人の頃、誰も覚えていないのが。違和感なく、初めから7人みたいに話してるの、当たり前。それが当たり前みたいに。4人が4人になった時から、私は4人にたくさん勇気をもらっていたから。この辛い時期を乗り越えたら、たくさんバイトして、たくさん4人に会いに行こうって。やっすーが4人でさ、歌ってさ、受験生の皆さんにエールを送りますって言ってて。4人がバンドでエールを送ってくれて、じゃあ私は冬が終わったら4人に会いに行って4人にエールを送り返してやろうーって。


そこまで考えてふと思い返せば、これまでたくさんのグループが消えては繋がってを繰り返して今に至ってるんだなと思った。4人になっていやな思いをした人もたくさんいるのに、そうかーこれは身勝手な話なんだなーと思う。誰かの犠牲の上に、誰かの悲しみの上に、誰かの幸せがあった。4人が4人でいて欲しいという私の身勝手な願いの上に、7人の未来があった。あれ、そうか。Jr.ってそういう世界だな、と改めて思う。それから、今日少年収で、レスキューレスキューを7人で歌ったと聞いた。そうか、きっとこれがJr.なんだなぁと思う。希望は塗り替えられていく。誰かの希望の上に、誰かの希望が塗り替えられて、それから、何かが消えていく。音もなく、消えていく。多分、その中に私が見ていたものが埋もれていった。多分、それだけ。


頑張ってほしい7人に。前に進んでいってほしい。振り返らずに。立ち止まったら、置いていかれる世界だから。今は過去にしかならないから。どんな道に進んでも応援していきたい、応援していく自信があった。今は、少し自信がない。7人の前進を素直に喜べる日が来るのかなあ、と少しだけ考えて、自信がなかった。


でも、もし7人のことを7人として心が応援出来る日が来たのなら、自分の足で彼らに会いに行こう。彼らに会いに行って、頑張ってと言いたい。あの日、言えなかった分まで。二度と帰ってこない大切な季節の中に、4人の背中は、もう見えないのだろう

アイドルとして生きること/ファンとして生きること

森田美勇人くん、萩谷慧悟くんを中心に主観のおはなしです。苦手だと感じたらブラウザバックをお願い致します





先日2016年ジャニーズ銀座の詳細が公表された。大きな試験も終わり、久しぶりに友人と再会し世間話に花を咲かせていた。Twitterにクリエの日程が流れて来たのは丁度そんな時であった。

美勇人くんについて頭を悩ませる瞬間はとても楽しいし、その分とても苦しかった。2つの公演に、森田美勇人という名前が飾られる。全14公演。グループを掛け持ちしている彼を、私は素直に肯定出来なかった。美勇人くんについて、1年近く追いかけ続けて、たくさん彼を知った。何をしてきたのか、何をしているのか、これから何をしていこうとしているのか。
Travis Japanを引っ張っていくダンサーの1人として生きてきた美勇人くんがいて、大好きな萩谷くん達とベースを弾く美勇人くんがいた。どちらもかけがえのない存在だった。誰かの願いを叶えるために踊り続け、自分自身のために歌い続ける彼はどこにいても眩しい人だった。


いい意味で、彼は1人で生きてきた。何に固執する事もなく、何処にでもいられる人だった。誰かと一緒にいたい。この人と踊りたい、歌いたい、デビューをしたい。美勇人くんからそんな言葉を聞いたことは一度もなかった。少なくとも、私が知る限りでは。
器用で頭のいい人だった。美勇人くんは何をしても、言葉は悪いかもしれないが利用できる物、環境があればなんでも利用した。自分の為に、彼は誰よりもアイドルとして生きていたいと願っていた。だから何も言わない。私達に何も伝えない。彼がアイドルとして理想とする形になった時、今はただの過去にしかならない。誰と一緒にいたのか、何をしていたのか、美勇人くんとっては夢を叶えるための過程の1つでしかないのだろう

アイドルとしての可能性を潰さない為に、美勇人くんは何でもしようとする。掛け持ちという形をとっても。いつか切り捨てなければいけないメンバーがいたとしても。


これだけ貪欲にアイドルを追い求めて続けて、それでも若手がどんどん前に出されていく今のジャニーズの売り出し方は見ていて虚しかった。悔しかった。これだけの才能があって、努力があって。それでも最前列でもてはやされるのはこの間までどこにも所属していなかった無名の後輩達。10年近くステージに立ち続けて、それでも報われない世界。分かっていて、悔しい筈なのに、それでもこの世界で歌い続けるのは何故だろう。誰かの光であり続ける彼は、眩しくて、でもどこか脆い存在だった。触れてしまえば壊れてしまうような、か細い光だった。たくさんの居場所があるという事実が、逆に不安定な世界を連想させた。何があってもしがみついてなければいけない。どれほどの葛藤が彼らを包み込んでいるのだろうか。


ガムシャラサマーステーションが開催されていた時期は、必死で彼のことを知ろうとした。美勇人くんに与えられる機会を素直に喜んでいた。画面に映る美勇人くんをひたすらに追いかけている自分がいた。トラジャでも、バンド括りでも美勇人くんがそこで踊っていられるのなら何だって良かった。ほとんどの人は、私と同じ感情なのだろうか。美勇人くんがそこにいるなら、隣の人は誰だっていい。バックダンサーとしてでも、メインとしてでも。アイドルでい続けるための可能性の幅を狭めない為に、美勇人くんも今の自分が正しいと感じているのだろうか。きっと、そうなのだ。


いつから美勇人くんの立ち位置に疑問を持ち始めたのだろう。「ずっと掛け持ちをしていればいいのに」という声に素直に頷けなくなったのは。
美勇人くんのベースを弾く姿を見たいからではなかった。その気持ちはあったが、大きな理由にはならない。


萩谷慧悟くんの存在が、私にはとても大きいものだった。担当のお友達と出会って、たくさんの話を聞いて、昔の彼の姿を知って、今を知った。ほんの数ヶ月の間に思う事がたくさんあった。萩谷くんは、バンド括りの大切なメンバーの1人だった。



大学に入り音楽論を学んだり、自分で曲を作ったりと音楽のスペックを上げています。Jr.でライブができる機会があったら披露したいです。ぼくたちはバンドを組んでいますが、正式なグループではないのでなれたらいいし、ライブもしてみたい。今はそれを目標に頑張っています。Jr.にもたくさんのグループがありますが、正直羨ましいです。仲良しごっこがしたいんじゃなくてぼくも同じ土俵に立って、来年は戦いたいと思います。  15'12 女性セブン



ふとした瞬間に、彼らは私達の心臓を突き刺すような鋭い言葉を投げかける。美勇人くんを追いかけていると、必ず萩谷くんがそこにいてくれる。ぼんやりとした姿だった萩谷くんが、このテキストを読んで突然はっきりとした輪郭を持ち強く光って見えた。担当ではない、それでも私には彼が特別な存在に思えて仕方なかった。


Jr.にとって「正式なグループ」とは何を指すのだろう。名前を持つ事だろうか。自分達の曲があるという事だろうか。確かな事は分からない。それでも今のいわるゆバンド括りは、グループではないと彼は言う。いつ崩れてもおかしくない曖昧な世界の中で、彼らは集い、私達の前でパフォーマンスをする。彼らの姿を追い求める人達の願いを叶えようとする。そして、萩谷くんが強く結束を望むグループの中に、美勇人くんの姿があった。名前は出さずとも、美勇人くんがそこにいて欲しいと願っているように見えた。


萩谷くんが幸せになって欲しいと願う人がいる。マイクを持って、自分達の足でステージに立っていて欲しいと望む人がいる。萩谷くんの周りにはいつも優しい思いがあった。そして、その思いを丁寧にすくい取る彼の姿があった。久しぶりに呼ばれたバラエティ番組で、萩谷くんを待ち望んだ声に応えるように務めた。萩谷くんはその場にいる誰よりも輝いて見える。掴んだチャンスを、手に入れた道を全力で踏みしめる彼の姿がとても綺麗なものに思えた。その姿を見守るファンの子達の声も、同じように綺麗だった。萩谷くんをめぐる全てのものが優しくて、それに触れる瞬間が心地よかった。その度に私も優しい気持ちになれた気がした。


単純な事だった。萩谷くんに幸せになって欲しい。萩谷くんと、萩谷くんを大切に思う誰もが幸せになって欲しい。その幸せの先に美勇人くんがいるのなら、萩谷くんの隣には美勇人くんがいて欲しい。美勇人くんのベースが必要だと萩谷くんが思うのなら、美勇人くんにはベースを弾いて欲しい。安井くんが歌って、真田くんがギターを弾いて、美勇人くんがベースを弾く。そして、萩谷くんがドラムを叩く。その世界が萩谷くんの望む世界なら、そうであって欲しい。



そして、美勇人くんは答えを出さない。むしろ、無言でいる事がファンに対する、そして美勇人くんを必要とするメンバーに対する答えなのだろうか。求められれば何にでも向き合った。そして去年はTravis Japanとして大きな成長を遂げた。メンバーの一員として彼はまた一歩踏み出した。何も言わないで、彼は萩谷くんが進む道とは別の方向にも歩き出していった。変わらぬ笑顔で、変わらぬ決意で。



いつかは答えを出して欲しい。誰かが悲しむ決断だったとしても、私は彼の口からそれを聞きたい。どんな未来だったとしても、私は彼を追いかける自信がある。それでも、その時に隣に萩谷くんがいてくれたらな、とは思ってしまう。誰に押し付けるつもりもないし、声をあげて言うつもりもない。ただ、そうある事が、萩谷くんにとってプラスであるのならそうであって欲しい。美勇人くんの幸せの先には、誰の姿が見えているのだろうか。美勇人くんは飛び抜けて頭がいい。悲しむ誰かがいる事を知っていて、それを口にする事で自分の将来を狭める事を知っているから、彼は何も言わない。来る時に、本当に決断をしなければいけない時に彼は何でも切り捨てられる人なんだろう。貪欲にアイドルとしている事は、必ずしも全ての人を幸せにする事ではなかったのだ。



お世話になった高校の先生に、昔、バンド活動をしている人がいた。全く別のアーティストに関してだが、その人と少しだけ「アーティストと音楽」についてお話をした事がある。かつてはインターネットの端で活動をしていたアーティストが段々と有名になっていく。私は昔の彼を知っているし、今の彼も知っている。そのアーティストが作る音楽が少しずつ変わっていった。当たり前だと思う。見られる場面が増えるのだから、環境も変わっていく。それに向けて自身も変化していかなければいけない。その変化に、昔の彼を愛していたファンは怒り、ファンを降りていった。それでもそのアーティストはそれは当然の事だと言った。

「今の僕の音楽が昔からやりたかった音楽です。今の僕を肯定できない人がいて当然だと思います。でも、僕はやりたい事をします。」

悲しむファンがいて、それでも彼は自分を優先した。自分がしたい音楽を優先した。そしてたくさんのファンが彼の元を去っていった。

その事を話すと、音楽に関わる人はそういうものだと先生は言っていた。自分がやりたい音楽がまずあって、ファンはその次だと。


なるほど。これはもしかしたらアイドルにも当てはまるのかもしれない。美勇人くんは自分が望む世界を優先した。悲しむ人がいる事も知っていて、それでも美勇人くんには美勇人くんが描く未来があった。そして今の彼が答えだった。ジャニーズ銀座のグループ編成には、2箇所、彼の名前があった。どちらのグループにも属して、アイドルを続けていくと。


だから私は美勇人くんの姿を見届けたい。美勇人くんの答えをこの目で確認したい。そのために私はB公演にもC公演にも足を運ぶつもりだ。そしてまた時間をかけて美勇人くんを知っていきたい。萩谷くんの隣にいる美勇人くんと、美勇人くんの隣にいる萩谷くんをこの目で見てみたい。9人足を揃えて前に進もうとするTravis Japanを見てみたい。誰かの後ろではなく、ステージでマイクを待つ彼らの姿を見てみたい。画面越しでは分からない彼らの熱量を、私はこの目で見てみたい。


その時私は何を思うのだろう。萩谷くんの幸せ以上のものが見つかるのだろうか。心の中に生まれた私の望みは、彼らにとってはほとんどが意味のない物だろう。それでも私達は彼らの未来に自分達の願いを重ね合わせる。無意味な事かもしれない。悲しい事かもしれない。それでも、バンドのグループが正式なものになって欲しいという願いも、Travis Japanが9人でいて欲しいという願いも、とても儚くて美しいものに思えた。形のない、それでも強い光のように思えたのだ。


その光の先に、彼らがいた。他でもない自分自身の為に不安定な足場を駆け抜ける、彼らがいてくれた。届く事のない願いを胸に、今でも私はその背中を追いかけ続けている。

「身に付けたり教わったり、そうやって自分のスタイルが少しずつ作られてきたかなって感じがするんです。やらされるんじゃなくて、自分の意思でやっていく。その心構えができたというか。だから今年は全部やりたい。芝居もダンスも歌も全部。バラエティーも出たいです」森田美勇人/TVfanより

158日目

担当として、彼を応援しようと心に決めてから200日弱が過ぎていた。

森田美勇人くん、ジャニーズJr.としてテレビや雑誌で活躍をしている。
Travis Japanの一員としては頼れるお兄ちゃん、テレビ東京系列の深夜番組「ガムシャラ!」ではちょっと腰の引けたポンコツキャラとして、今では出演常連組として沢山のファンの方々のハートを鷲掴みにしている。



Jr.屈指のダンスエースというキャッチコピーを掲げ、数々のステージ、舞台で数多くのファンを魅了してきた彼。自身もその身体能力を高く評価しそれを生かしたステージを披露してきた。

私が美勇人くんを応援しようと決めた理由も華やかなステージで堂々と振る舞う彼の姿に心を打たれたからだった。
それくらい美勇人くんにとっても、私にとっても彼のダンスの才能は大切な物であるし、これからも「森田美勇人」を語る上では欠かせない要素であるだろう。



10月31日に美勇人くんは20歳の誕生日を迎えた。恐縮ながら、私もTwitterや友人のLINE等で密かに喜びを共有していた。19歳だった彼を私は殆ど知る事なく、またひとつ、美勇人くんは大人になっていた。20歳としての美勇人くんがどんな決意を胸に明日を生きていくのか、私にはこれっぽっちも分からないのだ。これから先もずっと、ずっと。


そんな風にしてスポットライトを浴びてキラキラと輝く「アイドル」としての彼が大好きだった。このまま辛い事なんて何も起こらず、彼の望んだ未来が暖かく彼を迎えてくれればいいと、ぼんやりと思っていた。「美勇人くんの望む未来」って何なんだろう。考えてもやっぱり分からなかった。どんなに誌面で、テレビの中で、美勇人くんの声を聞いたって、それが具体的な内容であったとしてもピンとはこなかった。どんな悩みを抱えてきたのか、どんな思いで舞台に立っているのか。彼を追いかけて日が浅いからなのだろうか。毎日見てきた筈なのに、私は何も知らなかった気がした。


今日はダンススクエアと中高生読売新聞の発売日であった。(中高生新聞の記事の1つである「ジャニーズJr.の小箱」の美勇人くん担当回は今週が最終であった)Travis Japanとして誌面を飾る機会が増え、意気揚々と地元の本屋さんに向かい、レジに並ぶ前に少しだけ誌面をパラパラと捲ってみた。
対談と簡易なプロフィールだけかと思いきや、個人の項目も充実しており足を止め、美勇人くんの声に耳を傾けてみた


身体&心の癒し方
(前略)
先日、拡輝とシメ、京本、岸孝良で食事に行って、結構深い話をしたんです。じつは自分のことを話すのって苦手で、避けてたところもあったんですね。だけど、ふと「色んな人の話を聞きたいな」って思って。みんなの真剣な想いを聞いていたら、自然と「自分はこう思ってる」って言葉が溢れてきたんです。自分をさらけ出すこと、それを受け止めてくれる仲間でがいることが癒しになるんだなって、20歳になって、ようやく気付けました。

'15年に印象に残ったパフォーマンス
(前略)
自分も踊るのは大好きだし、楽しいと思っていますけどその喜びを周りの人と共有したいっていう意識は、持ってこなかったと思うんです。

__ダンススクエアvol.10より




初めてこの文章を読んだ時まるで電撃が走ったかの様な、そんな感覚に陥った。「ダンスが特技です」「踊る事が大好きです」私が知っている美勇人くんはいつでも笑顔が眩しくて、ダンスが好きだと言っていた、テレビの向こう側そのままの彼の姿だったから。

美勇人くんを追いかけて半年足らず。未熟なファンである私にとって、誌面から発せられた彼の声はとてもリアルなものだった。ストイックで向上心のある人だという事はもちろん知っているつもりだったし、現状に甘んじる人でない事も、分かっているつもりだった。
それでも文面から伝わってくる”かつての自分”と”これからの自分”をしっかりと見据えた美勇人くんが、どこか違う人の様に思えてしまった。私が知っていた美勇人くんは何処にいってしまったのだろう。今、美勇人くんは何を思って舞台に立つのだろう。


大袈裟かもしれないが、美勇人くんは生きているんだなあと実感させられるくらい。それくらい今までの私が見てきた美勇人くんの姿は、画面の向こう側のアイドルだったから。




喜びとも悲しみとも言えない不思議な感情を抱きつつ、帰宅をして今回が最終回と名残惜しい中高生新聞のJr.コーナーに目を向けてみた。

今までの連載で語られてきた美勇人くんの声は、私がよく知る美勇人くんの姿が映し出されていた。
ダンスを頑張っている事、大先輩のバックとしてステージに立てる事を誇りに思っている事。アイドルとしての「森田美勇人」がそこにいた。

そして、最終回に目を通した。
「自分の声」を発信できるJr.にとってはとても貴重な場面。最後に彼は何を語るのだろうか



先月末に、20歳になりました。20歳までにアイドルとして何かしらの形になる事を目指していたんですけど、なかなか思い描いていた姿にはなれていません。



彼の言う「アイドルとしての何かしらの形」とは何を指すのだろう。デビューをする事だろうか。CDを出す事だろうか。ただ、20歳になり、未だ現在の立ち位置にいる事に不安を感じているのだ。Jr.、デビュー、様々なアイドル像があって、少なくとも美勇人くんが目指しているゴールは、此処にはない。



僕がいるのは実力がないと生き残れない世界。その中で、どう生きていくか考えた時に、自分はダンスだけで満足していた事に気付きました。



いつかの安井くんが言っていた言葉をふと思い出す。
「チャラチャラして、楽そうに見える仕事。そう見られるならそれでいい。それがいい」


”そんな事ないよ、ジャニーズの世界はとっても辛いんだよね。分かるよ。”


心の優しいファンは、きっと口を揃えてこう言うのだろう。私もそう、本心からそう言えたら、どれだけ良かったか。

冷めているつもりでもないし、彼らが楽に向こう側の世界を生きているだなんて、これっぽっちも思わない。きっと辛いんだ。きっと悲しいんだ。
それでも、たまに思ってしまう事がある。キラキラしていて、沢山の子からエールを貰える、そうやって生きていける彼らが心の底から羨ましい。その裏側にある苦痛を、私は生涯味わう事はないのだから。死ぬまで彼らを見つめ続けるのなら、私は死ぬまで彼らを羨んで生きていく。華やかな舞台が光で、その代償として犠牲にしてきた物が影だとしたら、ファンが彼らの影の本質に触れる事は決して出来ないのだと思う。それは光の部分だけを私達に与える事が彼らの仕事だから。安井くんも、美勇人くんも。それをよく分かっている彼らだから、私には新聞に載せられた言葉に、涙せずにはいられなかった。
 

ほんの少しだけ、少しだけ
美勇人くんの影の部分に触れられた気がしたから。



歌とMCどちらの能力もなく、他のJr.との差に悔しい思いをした時もあります。ダンス以外に自信がなくて、度胸もない。そんな自分を直したい。だから今は、プライベートの時間の過ごし方を変えました。


ダンスに自信がある彼ではなく、ダンス以外に自信のない彼がそこにはいた。Jr.がメインである舞台に、私は行った事がない。美勇人くんがどんなMCをしたのか、どんな風に歌ったのか。私には何も分からないけれど、少なくともその裏側で悔しい思いでいた彼を知る事はなかっただろう。  
「かっこいい」「頑張ってる」そんなありふれた言葉でアイドルとして輝く彼を美化していたに違いない。



美勇人くんの事を何も知らなかった。そう何度も考える時があったが、そうでなかったのかもしれない。
ただ画面に映し出される彼らが守り抜いていた「アイドル」の姿を、私達が彼らに求める「アイドル」の姿を、そのままに受け止めていたんだ。


20歳、理想像と現実に悩みながらも前に進む1人のアイドルのリアルな声の最後は、こう締め括られていた


目標は芝居、歌、ダンス、バラエティー、全てを極め「森田美勇人が出るからテレビを見たい、歌を聴きたい」という存在になる事です。ファンの支えが励みになります。応援宜しくお願いします。




やはり、美勇人くんはアイドルであった。初めて彼を応援しようと心に決めたあの日に見た、私達が求めるアイドルの姿がそこにはあった。魔法みたいな言葉だ。例え美勇人くんについて何も分からなくても、どんなに叫んでも届かない思いだったとしても、単純にアイドルの彼が好きだと言える。ずっと応援してると、そう言える。






今日、美勇人くんはどんな思いで舞台に立つのだろう。
明日、美勇人くんは何に悲しんで何に喜ぶのだろう。
きっと何も分からない。でも、それでいいと思う。アイドルとして歌って踊る美勇人くんがいて、その姿を追い求める私がいる。それだけで十分だ



それでももし、いつかまた彼らのリアルな声が聞こえたなら。
華やかな世界の裏側を垣間見れる時が来たのなら。
少し立ち止まって、耳を傾けてみよう。
彼らの明日がより一層素晴らしいものであるように、私達の知らない「美勇人くんの望む明日」が、かけがえのないものであるように、そう願いを込めて。